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(,,゚Д゚)己を信じる争いのようです川 ゚ -゚) ep.Ⅳ

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 ep.Ⅲ <<  >> ep.Ⅴ

236 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 22:36:29.69 ID:f9WbjnGCO


*   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *

朝日が昇る少し前。
ギコは、自身のテントで、この戦争を回想していた。

ギコは、故郷を焼かれた恨みからこの戦争に参加した。
まだ少年とも言える年だったが、積極的に大人も音を上げる訓練に参加した。
機械化された身体、血反吐の出るような鍛錬、そして、何よりもその原動力となった"憎しみ"。
この三つの武器は、エルフを効率よく刈り取る兵器になり、ギコは瞬く間に戦果を上げ、異例の若さで隊長にまでなった。
しかし、戦い、戦果を上げるにつれ、徐々にその原動力――憎しみが、薄れていた。

親を斬られ泣き叫ぶエルフを見てからだろうか、美しい空を、森を見てからだろうか。
剣という、エルフに肉薄する武器を使っていたからかもしれない。

わからなくなってしまったのだ。
ギコは、エルフ達を憎んでも良いのか。

故郷を焼かれたから、大切な人を殺されたから憎んだ。
だからエルフを、誰かの大切な人を殺し、その故郷を焼こうとしている。

(,,゚Д゚)(……間違っているのだろうか……俺は)


そんなことを考えても今さらどうしようもない。
今は自分にできることをやるだけだ。

……この戦争を、終わらせよう。俺がどれ程の返り血を浴びても。

身支度を整え、テントから出る。
エルフの森の前にできていた人集り。ギコはその一番前に立った。



237 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 22:37:47.85 ID:yzYcTKDf0


ブーンが目を覚ましてくれれば・・・


238 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 22:38:07.40 ID:f9WbjnGCO



(,,゚Д゚)「……残ったのはこれだけか」

陣地に残していた兵と、先の戦いで生き残った兵を合わせても五百は行かないほどの数。
今までエルフを数で圧倒していたはずの人間軍が、いつの間にかこんなに小さな勢力になってしまった。


(-@∀@)「この少人数のさらにほとんどが火計の用意に回る。まともに戦うのは百程度と思っていい」

(,,゚Д゚)「……そうか」


この三日間の戦いについては生き残った兵士から聞いた。
ギコが相対した灼眼と碧眼のエルフのような強力な魔法を使うエルフは前線には姿を現さず、
代わりにどこからともなく不可避の矢が飛んできたとか。

盾をかいくぐり、どこへ逃げようと確実に急所を射抜く魔法の矢。
それも、小隊長などの指揮する人間を優先的に狙い撃つらしい。
まるで何かに見られているような気さえすると言った兵士もいた。



241 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 22:40:08.05 ID:f9WbjnGCO



(,,゚Д゚)(魔法だとしても、この腕輪がある限り俺には通用しまい……)

(,,゚Д゚)(だが、これ以上いたずらに兵を減らすのは辛いな)


(-@∀@)「ギコ」

(,,゚Д゚)「どうした?」

(-@∀@)「戦を終わらせる最も簡単な方法を知っているか?」

(,,゚Д゚)「敵の殲滅か?」

(-@∀@)「いや。もっと簡単な方法だ」

(,,゚Д゚)「なんだよ。勿体ぶらずに話してくれ」


(-@∀@)「敵大将の撃破だ」

(,,゚Д゚)「……」







242 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 22:41:55.14 ID:f9WbjnGCO


ギコはアサピーの言わんとすることをすぐさま理解した。
前線のエルフに構わず、一気に敵本陣へ攻め入り敵大将を討てということだ。


(-@∀@)「恐らく向こうはこちらの居場所を的確に特定し、狙い撃つことができる魔法を使っているのだろう」

(-@∀@)「だが、それがあればお前にその魔法は効かん」

(,,゚Д゚)「俺の居場所は向こうに伝わらない。……敵の裏をかける、ってことか」

(-@∀@)「そうだ。他の兵士達には火計部隊の援護、及びエルフが侵攻して来ないように足止めをさせる」

(-@∀@)「その間に、敵の大将を討ち取ってくれ」

(,,゚Д゚)「……わかった」


この戦の勝敗はギコに委ねられた。
ギコが死ねば負けは決まり。
死ななくとも、時間がかかりすぎればエルフ達に一気に侵攻されてしまう恐れがある。

なるべく速く、そして確実に敵を仕留めねばならない。



246 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 22:43:19.55 ID:f9WbjnGCO



(,,゚Д゚)(責任……重大だな)


(,,-Д-)(緊張は……ないな。やけに落ち着いてら)


初めは人間が圧倒していた。だが、敵を追い詰めたところで、逆に追いつめられてしまった。

単純な戦力ならば五分。
あとはエルフの作戦と人間の作戦、どちらが上策足りうるか……。
そして、残された戦士の力量はどうか、だ。


(,,゚Д゚)「……勝つ。絶対にな」

(-@∀@)「当たり前だ」



249 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 22:45:15.57 ID:f9WbjnGCO



(#゚Д゚)「……よし!総員!作戦の位置へ移動!!移動後は速やかに作戦を開始!森を焼き払え!!」

(#゚Д゚)「後がないのは向こうも同様!今回の戦いで全てが決まる!!」

(#゚Д゚)「だが恐れるな!!我々に負けはない!!この戦の終端は我らの勝利で飾られるのだ!!」

(#゚Д゚)「信じろ!!勝利を!!戦え!!国のために!!」

最初は、故郷を焼かれた恨みから参加したこの戦争だが、いつからか、恨みだけでなく、様々な思いや、責任を抱きながら、戦っていた。
その戦いが終わると思うと、自然と、声に力が篭った。


鬨の声が辺りに響き渡る。
地平線の向こうからは、ちょうど朝日が上ってきたところだった。
そして、その昇る朝日を覆いつくすかのように、頭上には暗雲が立ち込めていた。



251 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 22:47:22.88 ID:f9WbjnGCO


*   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *


森の深部には、木漏れ日すら差し込まない。だが、姦しくもある小鳥の囀りで時間は分かる。
朝日が昇ったのだろう。

エルフの森の奥地では、空を覆いつくすほど木々が生い茂っているので、奥地のエルフ達に朝の訪れを知らせるのは木漏れ日だけだ。


木漏れ日が瞼を閉じた女王の顔を照らす。
眩しさを感じたのか、女王の長い睫がゆっくりと動き、その瞼が開く。
鮮やかな花に包まれた木の葉の寝台から身を起こす。

川 ゚ -゚)「……爽やかな朝だ」

気配を殺していたのだろう、何時の間にか傍にいた双子の侍女がその独り言に答える。

ξ゚⊿゚)ξ「お早う御座います女王様。これほど爽やかに感じられるのも、勝利の美酒のおかげですね」

川 ゚ -゚)「ああ、ツン、デレ、此度の勝利はそなた達の功績による部分が大きい。誇りに思ってくれ」

ζ(^ー^*ζ「えっへっへー☆ありがとうございますぅ」

ξ゚⊿゚)ξ「そんな!私達には勿体無きお言葉…ほら!デレも頭を下げなさい!!」

川 ゚ -゚)「構わぬ、此度の英雄はそなた達だ。次もこの調子で頼むぞ」

ξ゚⊿゚)ξ「ハッ!」

ζ(゚ー゚*ζ「はい~ミ☆」



254 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 22:49:20.66 ID:f9WbjnGCO



森での二度目の戦闘が終わってから、半日が経っていた。
三日間に渡る防衛戦を勝ち取ったのは、エルフ達だった。

圧倒的多数の攻撃と、圧倒的少数の防衛だったが、地の利、士気、そして何より狙撃手の活躍により、ほぼ被害を出すことなくエルフは森を防衛しきった。
防衛戦、と言ったが、犠牲者の数字のみを見たならば、まるでエルフが人間達を一方的に虐殺したかのように見えるだろう。

前線に出ている人間軍の総数も、最早追い詰められていたエルフと同数にまで減っただろう。


今、エルフの半数以上は勝利を祝った後、各々休みを取っていた。

女王も、半日程の休眠を取り、連日の戦いの疲れを癒していたところだったのだ。


そして、女王はこれほどの大勝利を挙げたにも関わらず、今の状況を楽観していなかった。

川 ゚ -゚)(此度の戦いで、戦況は一転した)

川 ゚ -゚)(ニンゲン達は大量の兵達を失った……だが、奴らはまだ本国に戦力が眠っているだろう)

川 ゚ -゚)(此度の戦いで全力を出し切ったとは思えない…むしろ、これからの戦いが本番だ)

そう、ニンゲンはあくまで『攻め』。いつでも撤退できるし、いつでも戦力を補給することができるのだ。
常に全力を出す必要も無い。
この点がエルフと人間の、この戦争に対する決定的な価値観の違いだ。
奪うための戦いと、守るための戦い。
どちらが背負うものが大きいかは、明白だ。



255 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 22:50:46.09 ID:f9WbjnGCO


薄い朝霧に包まれる、美しい森を見渡す。
エルフの民を結束させているのは、私ではない、と女王は考えていた。実際、そうだろう。
本来争いを好まないエルフの民が力を合わせ、戦っているのは、この森を守るためである。

本当に、美しい。

うっとりした眼で獣や梢を眺めていると、シィが慌てた様子でこちらに向かい走ってきた。

川 ゚ -゚)「どうした?」

(*;゚ー゚)「狙撃手に反応がありました!!敵襲です!!」

ξ゚⊿゚)ξ「!!!」

ζ(゚ー゚*ζ「……ツンちゃん、やろっか」

ξ゚⊿゚)ξ「ええ……。それにしても、随分早いですね」

川;゚ -゚)(まさか……そんな筈が……)



257 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 22:52:07.56 ID:f9WbjnGCO


川;゚ -゚)(ここは戦闘を控え、補給が来るのを待つのが奴等にとって最善の手の筈だ……斥候から人員が増えたという報告は聞いていない)

川;゚ -゚)(狙撃手の存在も、奴等に明確にはバレていない筈だ。対処の仕様が分からないのだから、ここは一度手を引くだろう……)

川;゚ -゚)(補給の兵がいないのか?まさか……最終決戦のつもりか…?)

川;゚ -゚)(だが、あれだけの戦力で攻めてきても負けたのだ……人員補給が出来ない現状で再び攻めるのは余りにも無謀の筈……)

川;゚ -゚)(いや、待て……ニンゲンがこの戦況を大きく覆す方法がたった一つだけあるではないか……!!)

そう、数日前の議会でも挙がった話ではないか。


川;゚ -゚)(森を焼く……?)


まさか、と首を振る。
否定したいが、その可能性は否定できない。


万一の時の為に、防火用魔法陣を張っておいたが、アレはおまじないのようなものだ。
実際に火を放たれたら、迅速に、最適な対応をしても森の四分の一は焼けるだろう。



258 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 22:53:17.03 ID:f9WbjnGCO


(*;゚ー゚)「女王様!!我々も狙撃手の準備を!!」

川;゚ -゚)「あ、ああそうだったな!すまない」

シィの声で我に帰る。

川 ゚ -゚)(私の読みが当たっているとしても……今からでは対処できない。それならば、火を放つ兵を一人でも多く狙撃するのが最善!!)

大樹に立て掛けていた愛用の弓を手に取り、矢を番える。



――この瞬間、最終決戦の火蓋が切って落とされていたことに、多くのエルフ達は気づいていなかった。



259 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 22:53:35.56 ID:IydFyEix0


辛いな…
支援


261 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 22:55:42.61 ID:f9WbjnGCO


すぐさま狙撃手となり、矢を操る。

的確に、一人を狙い放たれた矢は、まるで自身の手足のように自在に動き、目標へと近づく。

が、その反応が、消えた。


操っている感覚が、突如として消えたのだ。

川;゚ -゚)「!?」

何かに弾かれた感覚ではない。
何かに妨害された感覚ではない。
そう、矢が物理的に消えたのではない。
原因は分からない。シィが想送してきたイメージでは、目標は先陣を切っており、如何なる障害も無いはずだ。

慌てず、もう一度捕らえた目標に矢を放つ。


が、これも先ほどと同じ感覚を残し、翼を奪われた鳥のように地に落ちた。

川 ゚ -゚)「……」

まるで、ナニかが人間を守っているようだった。
ナニか、とても大きなナニかが。



262 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 22:56:05.29 ID:RWpbS5RaO


両者とも火に弱いんだな


267 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 22:57:28.04 ID:f9WbjnGCO


*   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *

キィィィ―――ン……

何かが空気を裂く音が聞こえた。
他の人間には……もしかしたらエルフにも聞こえないであろう音に反応した男が、1人。

(#゚Д゚)「……っらぁ!!」


樹上から勢いよく上空へ飛び出したギコの眼前には、一本の矢。
腰の剣でそれを一刀両断すると、矢は力無く地面に落下した。


(,,゚Д゚)「これが……あいつらを苦戦させた魔法の矢か……」


最初にこの矢を見たときはギコも驚いた。
弓でただ放たれただけの矢とは違う、不思議な軌跡。
まるで矢自身が目標を目指して飛んでいっているようであった。


キィィィ―――


(#゚Д゚)「だぁぁっ!!」



268 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 23:00:54.48 ID:f9WbjnGCO


再び飛んでくる矢をギコは剣で叩き落とす。

ただでさえ兵数は少ないのだ。
これ以上被害を増やすわけにはいかない。
それに、火計は必ず成功させる必要があった。

ギコは飛来する矢を叩き落としながら、単身、矢の放たれる方向へ急ぐ。
矢がどのような方法で放たれているのかはわからないが、とにかくその仕掛けを破壊する必要があるのだ。


「……なっ!?貴様、ニンゲ……」

(#゚Д゚)「でぇい!」


途中、エルフに出会ったが問答無用で斬り捨てた。
エルフは断末魔をあげる間もなく物言わぬ屍と成り変わる。


(,,゚Д゚)(エルフが俺の存在に気づくのが遅い……?どういうことだ?)

(,,゚Д゚)(考えられるのは……この腕輪のおかげか)



270 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 23:02:05.59 ID:ZsxDCnwg0


ギコ強いな


273 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 23:07:10.06 ID:f9WbjnGCO


エルフが敵を察知するときになんらかの魔法を使っているとしたら、ギコに気づくのが遅くなるのにも納得が行く。
そもそもこの木が鬱蒼としている森の中で五感に頼り遠距離から敵を見つけ出すなんて無理な話だ。

(,,゚Д゚)(だとすれば……この戦、勝てる!!)


上空に放たれた矢を叩き落とし、ギコは笑みを浮かべた。
この矢だって、まだギコに向かって飛んでくることはない。
指揮官クラスの人間を優先して狙っているという話だったが、ギコは狙われない。

そこから導き出される答えは一つ。


(,,゚Д゚)(奴らは……俺の存在に気づいていない……!)


ギコが愚直に突撃し、エルフと相対すれば図らずとも奇襲になる。
それも、一騎当千の実力を持つ人間達の“切り札”が。

エルフ側の混乱は火を見るより明らかだ。



274 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 23:08:39.24 ID:f9WbjnGCO


(,,゚Д゚)「―――!」


何本目かわからない矢を斬り捨てた時、ギコの目が黒煙を捉えた。
煙は一つだけではない。
様々な場所から立ち上っている。

それらは全て火計の作戦予定地点の辺りだ。


(,,゚Д゚)「あっちも成功したか!」


程無くしてエルフの森は火の海に変わるだろう。
そしてそれはエルフ達にとっても想定外の事態のはずだ。

火を使うのならばもっと早い段階で使うはず。
なのに今まで人間達は火を使わなかった。
エルフ達の頭の中に火計の文字はすっかり無くなっているだろう。

想定外の火計に、不可視の将。
今までの劣勢を覆すのにこれほどの上策があるだろうか。



275 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 23:09:32.41 ID:f9WbjnGCO



(,,゚Д゚)「あとは俺次第……だな」


アサピーも兵士達もやるべきことはやった。
残された仕事といえばギコが敵大将を討ち取ることのみ。
―――人間達の勝利を、確定させることのみだ。


(,,゚Д゚)(待ってろ……この戦争は必ず終わらせてやる!)


この作戦のために犠牲になった兵士達への言葉を心の中で叫び、ギコは先を急ぐ。

目指すは森の中心。
おそらく敵本陣があるであろう場所だ。



最後の戦いが始まる。
もう間もなく火の海になるであろうエルフの森で。

様々な生き物が住む、この美しい森の中で……。



276 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 23:10:46.93 ID:RWpbS5RaO


終盤かな支援


277 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 23:11:07.60 ID:f9WbjnGCO


*   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *


川 ゚ -゚)「……どうやら、狙撃手の矢が一定のエリアを通ると無力化されるようだな」

何発か打って分かった。

ある小さな円状のエリアを通ると、何らかの手段により矢は無力化される。
探知型魔法陣ではなんの反応も得られなかったが、
無力化された矢の場所は分かるため、何度も矢を撃ち、無力化される範囲を測量したのだ。

その一点を通っていない矢は問題なく目標に辿り着いているため、人間側の狙撃手への対策は行き渡っていないようだ。
突如発生した謎の円。探知型魔法陣による調査も行ったが、生体反応は無かった。
そして、その円は着実に移動している。
ここ、エルフの森の奥地、狙撃部隊の潜む地点へと向かって。


川 ゚ -゚)「となると……」

(*゚ー゚)「機械、ですかね」

飛来する矢を全て打ち落とす機械でも作ったのだろうか?
だが、狙撃手は数日前使い始めたばかりだし、具体的にどんなモノかバレていない筈だ。
こんな短期間でこんなピンポイントな対策を?

疑問は残るが、今は考える時間も無い。

とりあえず、機械がここに辿り着くまで、機械の反応するエリアを避け、敵兵を駆除するのみだ。



278 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 23:13:53.38 ID:f9WbjnGCO


探知型魔法陣によって分かったことだが、今回攻め込んで来ている敵兵の総数は前回までと比較にならない程減っている。
やはり、人員補充は無かったようだ。

突撃のつもりだろうか?前回までと違い、一人一人分散している。
こちらからしたら好都合だ。分散している兵を、一人ずつ狙い撃ちにする。



そして、今回の戦闘が始まってから一時間程経った頃。

一人の負傷兵が、奥地へと運び込まれてきた。負傷兵は、前線に配置されていたエルフだった。

―――そのエルフは、全身に痛々しい火傷を負っていた。


狙撃部隊のエルフ全員が、息を呑んだ。

前線の、樹上で戦うエルフが、火傷を負っている。これが意味することは、一つ。

森が、焼かれている。

怪我人を運び込んだエルフも、青ざめた顔を無言のまま縦に振る。



280 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 23:15:22.80 ID:f9WbjnGCO


最も早く行動したのは、デレだった。
普段愚鈍な彼女が、前線から来たエルフに、火を放たれた場所を手短に聞き出したかと思えば、疾風の如く駆け出した。
釣られるように、ツンも着いていく。

その姿を見て我に返った女王が、号令を下す。

川;゚ -゚)「者共!!!今すぐ消火活動にあたれ!!!!ニンゲンは無視せよ!!!!森を第一と考えるのだ!!!!!」

否、それはとても号令とは呼べない。叫びであった。
パニックに陥っていた狙撃部隊全員が、女王の声で、狙撃体制を止め、持ち場を放棄し、各々発火地点へと駆け出す準備をする。

冷静に考えれば分かることだった。 いや、そもそもこの戦闘が始まった時点で、放火される、という考えは脳裏をよぎっていたではないか。


川;゚ -゚)(……兵が分散していたのは火を安全に放つためだったのか……!!!)

ニンゲン側からすれば、火計の火にまきこまれないようにする為以外に、分散するメリット等無い。
そして分散することで、こちらの前線を引き伸ばし、火を様々な箇所から起こすことで、消火を困難にすることができる。

(*゚ー゚)「待ってください!!!!」

冷や汗を流し、自責する女王のすぐ隣で、シィが声を上げた。
弓を置き、水の魔法を詠唱し始めている狙撃部隊達が、怪訝そうにシィを見る。



281 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 23:17:26.99 ID:f9WbjnGCO



川;゚ -゚)「何故だ!!!森が、この森が、奴らに、ニンゲン共に燃やされているのだぞ!!!!」

ヒステリーな声で喚く。

(*゚ー゚)「……」

(*゚ー゚)「……ここで全員が消火活動に行ったら、人間達の思う壺です」

川 ゚ -゚)「何故だ……!」

襟首を掴むような剣幕で、シィに迫る。

だが、シィは物怖じせずに答えた。

(*゚ー゚)「確かに人間側も何らかの狙撃手に対抗する手段を得たようですが、それは微々たる影響でした。」

(*゚ー゚)「わずか三メートルほどしかカバーできないモノでしたので、私達は狙撃手で他の地点にいる兵を狙い、着実に減らしていました」

(*゚ー゚)「私達が狙撃した兵の中には、放火を担当している兵も多くいたはずです。狙撃手達が居る限り、放火は思うように進まないんです」

(*゚ー゚)「しかし、ここで狙撃手を消火に回してしまうと……?」



283 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 23:19:06.62 ID:f9WbjnGCO


煮えたぎっていた脳に、冷水が掛けられる。

そうだ、指導者として落ち着くのだ。

川 ゚ -゚)「……他の放火兵を殺すことができず、第二、第三の火が放たれる!!」

(*゚ー゚)「そうです」

川 ゚ -゚)「………ありがとう。冷静さを欠いていたようだ」

川 ゚ -゚)「狙撃部隊!!消火活動は前線に任せることにする!!!前線に立っている歴戦の戦士を信じるのだ!!!」

川 ゚ -゚)「我々は、更なる被害を食い止めるため、ここで、今できることをすべきだ!!!各々再び狙撃手を開始せよ!!!!」

凛とした声が響き、狙撃部隊が統率の取れた動きで弓を構える。

女王の声で、皆、落ち着きを取り戻したかのように見える。
いや、焦燥感は皆抱いているだろう。だが、焦りに身を任せるのが得策では無い事を、皆悟った。

川 ゚ -゚)「……ツンとデレは行ってしまったか」

(*゚ー゚)「……彼女達なら大丈夫でしょう。……敵、捕捉しました」

川 ゚ -゚)「了解」

冷静に、冷酷に、女王は再び矢を放ち始めた。



285 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 23:19:42.44 ID:bJYFMTq80


爆撃すればいいのに
馬鹿なのか?



286 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 23:25:33.10 ID:RWpbS5RaO


シィの出世レベルのはやさ


287 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 23:26:46.39 ID:jFxzC3Bl0


こういう戦争モノでは大抵、多数決とか言出だしてその意見が通るために被害が拡大する法則


289 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 23:28:15.38 ID:RJKAk9Kt0


さるか


290 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 23:28:46.58 ID:+M6l5wZu0


男は黙って支援


291 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 23:32:25.52 ID:f9WbjnGCO


*   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *


――人間軍 前線基地キャンプ


(-@∀@)「……む」

兵が死地へ赴き、一人残された研究者兼、前線指揮官のアサピーは、荒野に立ち尽くし、森を見ていた。
ここでは、兵達の断末魔も聞こえず、血飛沫も届かない。が、彼はそれらを痛々しいまでに感じていた。

三日間に渡る時間稼ぎの突撃命令。
そして、火を放った兵も、その炎に焼き尽くされるであろう今回の火計。

もう少し、犠牲の少ない選択肢は無かったのだろうかと、何度も、何度も、痛切に彼は後悔していた。

それでも、残酷なことにその作戦は常に最善の策であったのだ。


(-@∀@)「……どうやら、成功したようだな」

見つめ続けていた森から、煙が立ち上り始めた。
火計成功だ。

本来なら、この戦争の関係者として喜ぶべきなのだろうが、むしろ彼は悲痛な思いだった。
あらゆる資源の源である森が、生命が、自分達のエゴで損なわれているのだ。



294 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 23:34:27.43 ID:f9WbjnGCO


森を、煙を見つめていると、キャンプの後方、荒野の方から爆音が近づいていることに気づいた。

(-@∀@)(何だこの音は……?追加の増援部隊か?今更?)

森から眼を背け、荒野の方を仰ぐアサピー。
遥か遠くから猛烈に砂煙を巻き上げ、爆音を轟かせながら近づいてくるそれは、アサピーも知る移動用の機械だった。
規格外の速度を誇るが、騒音や搭乗者にかかるGが問題となり、いくつかの試作機が作られるのみであった、駆動型魔導アーマーである。

(-@∀@)(アレは帝国の格納庫に封印したはずだったが……というか、常人ならGに耐えかねて数十秒も稼動できない筈だ……!)

そして、キャンプに着いたそれのコクピットが開く。

(-@∀@)(そのGに耐えかねる人物と言えば……!)

(メ ・∀・)「……久しぶりだね」

(-@∀@)「生きていか……!!!」

(メ ・∀・)「ああ、エルフの魔法で帝国の近くに飛ばされててね……いや、そんなことより、森は―――」



295 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 23:36:40.56 ID:f9WbjnGCO


(メ ・∀・)「……遅かったか」

黒煙の上がる森を見て、モララーは舌打ちをする。
エルフを恨んでいるはずのモララーも、森の大切は分かっているようで、アサピーは少しだけ安心した。

(-@∀@)「……火計を止めに来たのか」

(メ ・∀・)「ああ、偶然聞いてね。止めようとコレに乗って全速力で此処に来たんだけど」

(-@∀@)「フッ……間に合っていても、あのギコを止める事はできなかっただろう」

(メ ・∀・)「……彼は故郷をエルフに焼かれたから、かい?」

(-@∀@)「いや、違う。奴は、自分が血を浴びる事でこの戦争を終わらせる決意をしたからだ」

(メ ・∀・)「……損な役回りをするね、ギコも」

(-@∀@)「奴はこの戦争の全てを背負い込んだ。我々にできるのは、ここで戦争が終わるのを見届ける事だけだ」



297 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 23:39:26.38 ID:f9WbjnGCO


(メ ・∀・)「……そうでもないんだなこれが」

(-@∀@)「どういうことだ?」

(メ ・∀・)「僕達にも、アイツが終わらせた戦争の後の世の中を、できる限り良くする、という仕事があるさ」

(-@∀@)「難しい仕事だな。まず初めに何をする?」

(メ ・∀・)「………王を、殺す」

(-@∀@)「……正気か?大逆罪だぞ。 それに、ホライゾン帝は賢帝ではないが、王位を奪う必要があるほどの悪帝とも思えん」

(メ ・∀・)「正気さ。この書類を見てくれ。城を探索してたら、機密文書を多数見つけてね。それの一つなんだけど……
     この戦争で勝った後の、エルフに対する扱いに関する政策が書かれている」

(-@∀@)「……………奴隷同然じゃないか」

(メ ・∀・)「ああ、危険だからと魔法を封じ、体力が優れているからと一日に二十時間以上の労働を義務とする」

(メ ・∀・)「僕はコレを城で見つけたとき、謀反を決意した。こんな政策を実行しようとしている王は、間違っている、と」



299 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/07(水) 23:41:32.59 ID:f9WbjnGCO


(メ ・∀・)「まだ理由はある。十数年前のVIP町火災事件……アレは実は当時開発中だった魔導アーマーの暴走だったんだ」

(-@∀@)「なんだって!?」

(メ ・∀・)「実験の指揮をしていたのはホライゾン帝その人。……その試験中の兵装はエルフの魔法を再現した、特殊な炎だった。
     町一つ焼き尽くすまで、放たれた炎は消えなかった。そして多くの人の命を奪い……ギコの人生を、歪ませた」

(-@∀@)「……ではエルフの放った炎だと言っていたのは」

(メ ・∀・)「彼が責任逃れと、エルフの森の資源を奪う為に捏造した口実……。全部、フィレンクト大臣がリークしてくれたよ」

(-@∀@)「……我々は、とんだ暴君に仕えていたのだな」

(メ ・∀・)「ああ、ホライゾン帝が統治している世の中じゃ、戦争が終わっても碌な世の中にならない。ギコが残した世界だ。僕達が変えよう」

二人の男が、無人のキャンプで視線を交わし、頷きあう。
そして、黒煙のあがる森を見て、決意を固めたように拳を強く握った。






 >> ep.Ⅴへ続く
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[ 2012年11月08日 20:24 ] カテゴリ:2ch VIP SS | TB(0) | CM(0)
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